H社では,ICカードを利用したバス運賃精算システム(以下,システムという)の試験導入を行うことになり,そのためのプロトタイプ開発に着手した。ICカードには,ICチップが埋め込まれている。ICチップに保存されている情報は,ICチップ専用のリーダ/ライタにICカードをかざすだけで,読取りと書込みができる。 〔ICバスカード〕 ICバスカードとは,ICカードを利用したプリペイドカードである。乗客は,バス停や営業所にあるチャージ装置を使用してあらかじめ一定の金額をチャージする。 〔IC整理券〕 IC整理券とは,ICチップを利用した整理券である。ICバスカードを持っていない乗客の乗車区間を確定するために利用する。 〔運賃の確定〕 乗客がバスに乗車する際,ICバスカードを持っていれば,ICバスカードを乗車口の整理券箱にかざす。チャージ金額が初乗り金額未満の場合は,警告するが乗車は可能である。ICバスカードを持っていなければ,整理券箱が発券するIC整理券を取り出す。この時点で,乗客の乗車バス停が確定する。 乗客がバスから降車する際,ICバスカードを利用していれば,ICバスカードを運転席横の運賃箱にかざすと運賃が確定する。IC整理券を利用していれば,IC整理券を運賃箱に投入すると運賃が確定する。運賃が確定すると,それを"運賃の残金"の初期値として後述の〔精算処理〕が実行される。 〔精算処理〕 精算とは,乗客が現金かICバスカードいずれか片方,又は両方の併用によって,運賃を支払うことである。システムは,運賃の残金があればその金額を表示する。現金での精算に必要な硬貨を返すことはできない。運賃の残金を超えた現金を投入した場合は,投入した現金を返却する。釣銭が必要な乗客は,運賃箱の両替機能で両替してから運賃を支払う。両替金の補充は,管理部門が運行時間外に行う。

〔乗車区間未確定処理〕 整理券箱にICバスカードをかざさず,かつ,IC整理券を取り忘れた場合は,始発バス停からの運賃が適用され,運転手が運賃箱にその金額を運賃として設定する。 表1のアクター覧と表2のユースケース一覧のレビューを実施し,表3のレビューでの指摘事項を反映させて,図1のユースケース図を作成し,ユースケース記述の作成と非機能要件の抽出を開始した。

図1のユースケース図を凡例に倣い完成させよ。凡例で定義した関連,汎化,特化,包含,拡張のうち,"関連"についての記述は完了しており,これ以上増えない。

あなたの解答
図1 ユースケース図(作成途中)
模範解答
設問1のユースケース図完成図

表5のユースケース記述のaからdに入れる適切な文章を解答群の中からそれぞれ一つ選び,記号で答えよ。

システムの要求分析の範囲内で,非機能要件の項目として適切なものを解答群の中から全て選び,記号で答えよ。