R社は,10年前に創業した電子部品の製造・販売会社である。仕入れた原材料を在庫にもち,それらを加工し組み立てて,電子部品を製造する。R社は,売上を全て売掛金に計上している。【経営状況と戦略】R社は,技術力を生かして開発した画期的な新製品を投入して,競合のない新しい市場を創造し,新規顧客を開拓することによって,創業以来,売上と利益を順調に伸ばしてきた。2013年度は,需要の増大に対応するために,積極的な投資を行い,工場などの設備を増強した。これらの投資の資金は,営業活動から生み出されるキャッシュだけでなく,銀行からの借入れによって調達したが,借入れはかなりの額に達しており,これ以上増やすことは難しい。また,ここ数年で大幅に増えた社員数,組織数,設備数などに社内の管理体制が追い付いておらず,改善が必要である。一方,R社の市場は他社にとっても魅力的なので,将来,他社が技術革新を進めて,R社の競合となることが予想される。このような状況を受け,R社の経営陣は,財務体質の改善に取り組むことにした。財務体質の改善には,社内の管理体制を強化する必要がある。そこで,財務部長をリーダとした財務体質改善プロジェクト(以下,プロジェクトという)を組織した。経営企画部のS君もプロジェクトメンバに選ばれた。【S君が学んだこと】S君は,プロジェクトに参画するに当たって,自分の知識を深めるために,キャッシュフローや財務諸表について学習した。次の記述は,S君が学んだことの一部である。「取引の中には,キャッシュフロー計算書に反映されるが,損益計算書には反映されないものがある。また,その逆もある。理由は,キャッシュフロー計算書は現金主義に基づいているが,損益計算書は□a□主義に基づいているからである。黒字倒産は,□b□はあるのに,□c□が不足して起こる倒産である。」

【経営状況と戦略】について,R社のこれまでの経営戦略を,解答群の中から選び,記号で答えよ。

本文中のa~cに入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。

表3中の営業活動によるキャッシュフロー,投資活動によるキャッシュフロー,及び財務活動によるキャッシュフローは,【経営状況と戦略】の記述の活動から判断すると,それぞれプラスかそれともマイナスか。+又は-の記号で答えよ。

(1) 本文中のd,eに入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。

(2) 本文中の下線①について,S君が問題があると考えた根拠を,表1及び表2中の勘定科目名を一つずつ用いて,30字以内で述べよ。

(3) 本文中の下線②によって自己資本比率が改善される理由を,表4を参考に,表1中の勘定科目名を用いて,20字以内で述べよ。